8月に開催されたスマートキッチンサミットジャパン2019、の紹介に加え、登壇されたマルエツやカスミなどを運営するユナイティッド・スーパーマーケット・ホールディングス(USMH)株式会社の藤田元宏社長のインタビュー記事を食品商業10月号に掲載しています。
AIやロボティクスなどフードテックのコンファレンスではありましたが、食品業界でも、その分野において最も遅れているであろう分野のひとつ、小売業からの登壇!若い世代に交じっての藤田社長のプレゼンテーションは、現在のスーパーマーケットの危機的状況を捉え、変わらないとあかん!と非常に熱いものでした。地域のお客様、そして従業員が楽しいと思うスーパーマーケットを目指し、圧倒的ワクワク感を提供していくのだと、まさに同感です。やはり、目指すところは、ボストンのマーケットバスケットです。そのうえで、先端のテクノロジーをどのように導入していくかが腕のみせどころです。
さて、一方、がっちりデジタルなしくみを導入したであろう、コンフォートマーケットに行ってきました。中延駅そばにできたセブンアイグループの新業態、コンフォートマーケットに行ってきました。8月2日のオープンから1ヶ月半経過して地元のお客さんが定着しているかな。白を基調とした空間は、通路も広く、美しいのですが、スーパーマーケットにしてはすっきりしすぎて、なんとなく落ち着きません。
<<すっきりした空間、地上階に惣菜と飲料があって、さっと買いたいときは、使い勝手はいいでしょうが、、>>
エントランス近くには、アプリをインストールすれば、レシピの提案などが出てきます。レシピと連動した食材のオンラインの購入も可能、ロッカーが置いてあって、注文してピックアップすることもできるようになっています。これは便利、使いこなせればいいだろうなあ。自宅の冷蔵庫にある食材は、、、なんて思いだしながら、昼間の仕事場から注文するのもいいだろうなぁと思いますが、これくらいなら、ささっと自分で確かめて買いたいのは、昭和の主婦だけでしょうか。
<<アプリを開けると、レシピがでてきて、ひとつを選択すれば、材料リストが買い物かごへいくしくみ>>
1階は、惣菜、お酒を含む飲料、ワイン、チルドデザートの売り場、そして2階に生鮮品とグローサリー。冷凍食品、水産品には、スーパーフローズンという冷凍技術を使っているらしく、解凍と表示のあるさんまやカツオも並んでいます。冷凍食品のケースにも、スキンパックされた魚の切り身、また調理された肉、カレーやシチュー、デザートも並んでいる。文字で鮮度をアピールされても、買いたい、家族に食べさせたい気持ちには、なかなかつながりません。冷凍おにぎりもシチューも比較的買いやすい値段で、おいしいのに、残念です。
<<スーパーフローズン技術が伝わりにくいなあ~>>
<<ミールキット的商品をプラ容器に入れて、QUICK PAN、これはなかなかよいです。>>
惣菜は、ぐるりと円形のショーケースに美しく並んでいます。成田の機内食ケータリング会社が納入していたり、調理を監修したシェフの顔写真があったり、握り寿司が2カンずつパックされていたりと、、いろいろ工夫もあります。ポテトサラダも、スープカレーも美味しくいただきました。セブンイレブンをはじめとする関連会社の惣菜開発の知恵が詰まっているなあと感心します。
最後は、セルフレジで、カードや電子マネー決済ができます。おそらくセブンペイがここで活躍することを見込んでいただろうにと、思います。オンラインで注文、決済、そしてピックアップというしくみが組まれており、コンフォートマーケットのコンセプトは、便利さと豊かさの両方を追求するとのことです、惣菜も悪くないのですが、先端のしくみとスーパーマーケットの泥臭い生活感、おっしゃる通り、その両立は難しい。買い物客のコンフォートとは何か?を改めて考える機会となりました。
AmazonGOやトライアルのレジレスのしくみは、便利。でも、主婦(最近は男性客も多いけど)がスーパーマーケットに求めるものは、やはり生鮮品の鮮度、品揃え、そしてワクワクする売り場です。料理をしなくなったとはいえ、季節の野菜や果物が積まれていること、水産売り場の威勢のいい掛け声、鮮度のいい魚、、いまだ生鮮品は、スーパーマーケットの重要な魅力です。
2016.7.20 FoodBiz.asia記事 「米国スーパーマーケット業界は、野菜推し」 でも生鮮が大事と書きました。
ちょうど、Walmartも"Rediscovering America"を掲げ、地域密着、シェフと連携して、野菜のメニュー提案など、リアルなコミュニケーションにも力を入れているというがニュースも入っています。Phenix Business Jouirnal 2019.9.14