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惣菜市場は拡大鈍化~2020年度惣菜白書より

2020年6月17日 09:55 - Miki Michihata
2020年度惣菜白書が、一般社団法人日本惣菜協会から発表されました。2019年の惣菜市場規模は、10兆3,200億円。昨年から0.7%の増加。市場は拡大するも、伸び率は鈍化傾向です。人口減少や家計引き締め消費ムードの中で、この統計上の惣菜市場は、頭打ちとなるでしょう。

 しかしながら、広義の中食市場となると、今後拡大が予想されます。というのは、惣菜白書のいう惣菜市場は、惣菜を取り扱う惣菜専門店、食品スーパーや総合スーパー、百貨店、コンビニというチャネルだけを対象としており、ファーストフードやレストランのテイクアウトなどは含まれていないからです。テイクアウトの市場は、新型ウィルスの登場で拡拡大していくでしょう。また、自粛生活の中で、売り上げが伸びた調理済みの冷凍食品、ミールキット も中食の範疇に入るのか、、今までの線引きを更新しないと、現在の食スタイルとは、マッチしない統計になってしまいます。今後、外食・中食あるいはメーカーを超えた統計のあり方が、食の課題解決のために、求められます。

 2020年度の惣菜白書で興味深かったのは、消費者へのアンケート調査による行事食への回答です。調査は、本年2月中旬に実施されているものですが、恵方巻きの売り上げ減少があったことです。恵方巻発祥の地、関西では、4.1%ダウン。首都圏でも0.5ポイントダウンという結果です。この調査からだけではなんともいえませんが、食品廃棄への批判を受けて、予約販売のみにした店もあったように思います。行事食については、今までいけいけドンドン、右肩上がりで負け知らず、という勢いでしたが、曜日の関係(今年の立春は月曜日)か、すでにコロナウィルスの感染の影響があったのか、わかりませんが、ここ数年の食品廃棄への意識の高まりを受けてか、一極集中・つくられた行事食への反省や気づきの表われかなとも思います。

この自粛モードの数カ月では、惣菜は、家で料理をする機会が増えて、家計調査また様々な企業へのヒアリングによると、減少傾向にあります。全国スーパーマーケット協会による4月実績によれば、既存店の売上は前年比110%のところが、惣菜の売上は、、96%とふるいません。一方、惣菜カテゴリーの中でも、ロングライフの袋物惣菜など、伸びている分野もあります。私の勝手な感覚では、今まで単身者、個食向けに作ってきた商品ではなく、ファミリー向けのものなど、例えば焼肉セットや刺身のサクなど、よく売れているよう思います。(外食需要が下がって、価格も買いやすくなっていますね)

従来のようには戻らないことは確か。惣菜の買われ方、使われ方も変わっているのだと感じます。新たな商品開発、品揃えが求められます。また、買われる時間も変わっています。スーパーマーケット協会の調査によると、買い物は、夜から昼の時間へという傾向。これは自粛期間だけの傾向かもしれませんが、あまり夜遅くにスーパーに行くこともなくなるでしょう。

これからの惣菜、中食市場、そして外食市場は、大きく変わることは確か。どう変わって行くかは、ほんと読みづらいところですが、どんなビジネスをしていくか、顧客にどのような価値を提供していくのかを明確にすることが求められます。



惣菜市場について、書いた過去の本ブログ記事は以下に。




この記事の執筆者:
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道畑富美
惣菜市場は拡大鈍化~2020年度惣菜白書より
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