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post by Fumi Michihata
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移動販売「とくし丸」買い物の楽しみ

2023年6月24日 09:25 - Miki Michihata
 我が家の近所にも「とくし丸」がやってきました!我が家は、京都市内ど真ん中(といっても、祇園祭関係者から言わせれば、『そこは洛外どすなあ~』とイケズなご指摘を受けそうですが...)、まさに、スーパーマーケット不毛の地。ご承知の通り、街中は、スーパーマーケットとなるような大きな物件もなく、従来、デパ地下か、公設市場発のコンビニ程度のスーパーが点在するくらいで、最近は、ライフが積極的に出店していますが、そこまで行けない高齢者にとっては、まさにフードデザートです。 

生鮮品やお菓子、アイスクリームまで、みっちり、ぎっしりと積まれた小さなトラックは、夢のよう、約400品目が品揃えされているようです。普段、買い物に行けないおばちゃん、おっちゃんたちは、狂喜乱舞。とくし丸が停まれば、次から次へ、皆さん,ご自宅から出てこられます

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<<買い物は楽しい!ジャスコ時代からあったイオンがなくなったので、このあたり空白地域でした。ありがたや~。>>


とくし丸2012年に、創業者が、徳島県の中山間地で暮らすお母様が買い物難民となっていることから着想し、移動販売ビジネスを立ち上げた事業で、2016年にオイシックス傘下に入っています。今では、全国で143社のスーパーと提携し、約15万人の顧客に利用されているとのこと(2022年5月時点)。名前の発祥は、徳島県発ということもありますが、「篤志」という意味が込められているそうです。利潤追求よりも社会課題の解決が優先されており、独自のビジネスモデルを構築されています。とくし丸のトラックを運営するのは、個人事業主、それぞれが地域のスーパーと契約し、毎朝、スーパーマーケットから商品を持ち出し、地域を回るというしくみです。需要が高く、トラック運営者も絶賛募集中のようですが、募集要項の注意書きに、正直かつ鋭いことが記載されています。運営者の年齢は、35歳から60歳、その理由として、今後15年から20年は、需要がふくらむが、その先は縮小するからだと。若い世代は、ネットスーパーか、あるいはもっと新しい買い物の仕方へ移行していく。親会社であるオイシックスを利用する世代へと交代し、従来の買い物難民課題は解消されるということですね。また、新たな課題は出てくるとは思いますが、将来、課題が解決されれば、今のビジネスは縮小する。なんとも矛盾をはらんでいます。  

オンラインスーパー、通信速度も早くなり、画像も3D化、VR化していくと、まさに家にいながら、買い物を楽しめるようになるかもしれません。我らアナログ世代は、相容れないところでもあります。やっぱり買い物楽しい、足を運んで、いろいろな体験が求められます。最近、米国のスーパーマートは、より多機能・巨大化の方向と、より単機能・コンビニ化の二極化が進んでいるようです。コロナ後、インフレもある、ガソリン代も高騰。買い物にいく頻度は控えても、スーパーマーケットに滞在する時間が長くなっているというレポートがあります。せっかく行ったら、買い物だけでなく、食事やその他のサービスも楽しんで帰ってくる。惣菜売り場やフードコートの充実、コロナ前流行った「グローサラント」が再確認されているようです。また、ネイルや美容など、ちょっとしたサービスを受けるなど、やはり「リアルの場」は、より重要になってくるだろうなあと思います。

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<<昨年5月に行きました。アメリカど真ん中、アイオワのど迫力スーパー Hy Vee 、レストランあり、奥のワインコーナーはすごい品揃え!>>

(参考ウェブサイト)
とくし丸 

Placer.a  "5 Major Grocery Trends Shaping the Industry in 2023"
この記事の執筆者:
Foodbiz-net.com
道畑富美
移動販売「とくし丸」買い物の楽しみ
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