新年度が始まりました。最近の惣菜マーケットをみますと、時代が変わって行くなあと感じます。というのは、長持ち惣菜、賞味期限を延長しようという試みがどっと進んでいるように思います。
背景にあるのは、食品ロスの抑制、そして人材不足への対応、また物流費の高騰があるでしょう。デパ地下や惣菜専門店に並ぶ、出来立て惣菜は、見栄えもよくて、食欲をそそります。ただし、おおよそが、製造したその日かその翌日くらいが賞味期限。購店側では、当然売れなかったものは、廃棄処分に。最後まで見栄えを優先するデパ地下のバックヤードでは、驚くほどの廃棄です。そして、最も重い課題は、製造の現場で調理する人の問題。調理の現場は、決してキレイなところではないですし、楽な仕事でもありません。いまの若い世代には人気のない職場です。また、惣菜は、催事性も強く、今のようなお花見、年度初めなどは、惣菜需要がグーンと高まりますが、そうでない時もあり、その波の振れ幅が大きいのも特徴です。
となると、すぐに廃棄処分になる惣菜ではなく、1日でも長持ちする惣菜が求められるようになります。どうやって日持ちさせるか。いくつかの方法があるありますが、①温度管理。冷凍にするとか、チルド温度帯(0~5℃)そして、 ②殺菌(レトルト、缶詰、袋物惣菜など) ③ガス置換包装(食品中の菌の活動を押さ得るために二酸化炭素や窒素ガス充填してしまう) 他、徹底した衛生管理や静菌技術などがあります。
①の方法で調理済み冷凍食品は、一般的で冷蔵庫には、必ず冷凍食品が入っているでしょうし、ホームフリージングは、様々な食品に適用されていることでしょう。最近では、コンビニにチルド温度帯で流通するチルド弁当が売られています。「必ずレンジ加熱してください」と書かれたかつ丼など利用されたことがあるでしょう。他のお弁当と比較して、数日、より長く賞味期限が長く設定されています。
②の袋物惣菜は、コンビニにずらりと並んだおかず類。惣菜カテゴリーの中でも成長分野のものですが、高温高圧で殺菌するレトルトよりも柔らかな殺菌で1ヶ月ほどの賞味期限のものがほとんどですが、買い置きもできて使い勝手が良いものです。
<<ずらりと並ぶ袋物惣菜>>
③のガス置換法は、ファミリーマートのおかあさん食堂のもの、納豆容器のような四角いスチロール容器にシールがしてあるものです。食品の劣化や菌の生育を抑制するために、酸素を追いだし、二酸化炭素を充填して包装しています。トップページ写真にのせたマルニチロのレディミールは、この方法で長持ちを実現したもの、価格はちょっと高めですが、これからどう受け入れられて行くかが楽しみです。
他にもセブンイレブンが、サンドイッチの賞味期限を長くしたようですが、パンの配合や具を見直し、長持ちを実現しています。私も試してみましたが、全体的に余計な水分が減ったなあという印象を受けました。とはいえ、パサつくことなく、もっちりしたパンの食感で、さすがセブンイレブンと感心しました。
デパ地下惣菜のロック・フィールドも長持ち惣菜を追求するために、研究所を新設されるようです。ただ長持ちするだけでない、野菜の食感や風味を向上させるための、様々な研究がなされっるようです。
もはや私たちの食生活になくてはならない惣菜、美味しさの向上だけでなく、環境や社会的な持続性についても取り組む時代になってきました。
日本経済新聞 ロック・フィールドが「野菜研」長持ち惣菜開発へ 2018.3.23
日本経済新聞 セブンイレブン 主力サンドイッチ長持ちに 廃棄削減効果も 2018.3.18
アジアや欧州は、すでにロングライフ惣菜大国です。このブログでもいくつか書いていますので、ご参考になさってください。(香港空港のセブンイレブン、冷凍チルドなんでもあり)
<<香港空港のセブンイレブン、冷凍チルドなんでもあり 2018年3月14日>>
「香港レディミール定点観測ちう」2017.12.17 http://foodbiz.asia/report/post_20171217_hongkong.html
「CP欧州レディミール工場潜入記」 2017.8.7 http://foodbiz.asia/report/post_20170807_readymeal_topsfoods.html
「加速度的に進む惣菜のロングライフ化 2017Bangkok」2017.6.11 http://foodbiz.asia/report/post20170611_readymeal_bangkok2017.html
「冷食がお好き?Iceland とCook London Report」2015.10.26 http://foodbiz.asia/report/icelandcook_london_report_vol2.html