ミレニアルズ世代が新しいトレンドをつくっていきます。80年から90年代に生まれた、日本で言えばゆとり、さとり世代にあたるでしょうか。米国では、ミレニアルズ世代の人口7,500万人いると言われ、モノにも執着しない、メルカリのようなシェアリングエコノミーのけん引役でもあります。
とはいっても何でもいいわけではなく、こだわりは強い。食の分野では、ミレニアル世代の嗜好は、オーガニックやエコロジカルなもの、機能をもつナチュラルスーパーフードなど、あるいは社会性や倫理性も求められ、エシカルなものへ向いています。こういったものをひとくくりに、Clean Labelと呼ぶようです。
<<Go Clean Labelのロゴ>>
米国のホールフーズやトレーダージョーなど、小売・外食企業が集まって、もGo Clean Label というキーワードをプッシュしています。こうなると、商売っ気が入り、セールスポロモーション的なにおいがしてきますが、さすが商売上手ですね。
オーガニック商品は、欧米では、ここ数年人気が高まっています。米国のOrganic Trade Association は、2016年度、オーガニック食品の売上が8.6%が前年から増え、430億ドル(*)の市場となったと発表しています。食品市場全体が0.6%増と伸び悩むなか、唯一ドラスティックなカテゴリーです。ただし、オーガニック食品のシェアは、食品全体市場のまだ5.3%しかありません。
<<OTAデータから作成>>
注(*) ただし、米国農務省USDAの農産物市場のデータとかなり数字が違っています。 USDAのものは、加工する前の農産物の市場かと思いますが、このOraganic Trade Associationの数字は、ちょっと怪しいかもしれません)
EUでもオーガニック(ビオ、エコロジカル)食品は、生産面積も2002年から2015年で倍になっています。なかでもオーガニック率の高いと言われるデンマークでも全食品小売り市場の約8%(在日デンマーク大使館資料)、スーパーマーケットで、エコロジカルマークをよく見かけます。
<<コペンハーゲン市内のディスカウントストアですが、、赤いマークがエコロジカルな証>>
<<Alnaruraでは、日本食用のしょうゆやみそもビオ(オーガニック)なものが揃ってます>>
さて、日本の有機農産物は、その流通量は、1%にも満たないと言われています。高温多湿、オーガニックなんて望むべくもありませんが、、農産物や食品の輸出促進、また近いところでは東京オリンピック・パラリンピック大会においての食材調達にむけて、日本政府もアクションを起こしているようです。安全はあたりまえ、加えて持続的な農業生産や流通も肝となっています。農水省は、オーガニック・エコ農産物の供給体制の構築事業に1億円を投じています。
昨日、農水省補助事業で「食の安全・信頼シンポジウム フードチェーンで取り組む食の未来」というのをチラ拝聴してきました。食品品質のグローバル基準(どこを目指すのかよくわからないけど)を目指そうというシンポジウムで、JGAPやJFSの認証制度の事例紹介がありました。
日本の農産物、安全でおいしいと謳っていますが、国境を越えていくのは、本当に厳しい関所がいくつかあります。アメリカの若者がClean Labelを求めている(といってもある一定の層だけと思いますが、、)のに、日本の消費者、特に若い世代は、食への関心が低い。コンビニで、便利で安く食べられるものが、一番良いようで、安全性や食の出どころまで気を使う人はそんなに多くはないように思います。グローバル基準をという高邁な目標を掲げる企業側と行政、消費者の意識に大きなギャップがあるなあと感じます。ひとたび、大きな食品リスク問題がメディアに出れば、また大騒ぎ。なにひとつ、構造的な問題は解決しない、、、とういのは、もうやめにしてほしいですね。
出典
EUレポート EU'Facts and figures on organic agriculture in the European Union'2015
Natural Products Insider 2017.7.3記事 'Trends in Clean Label Eating"