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post by Fumi Michihata
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単身世帯と惣菜需要

2016年12月31日 12:25 - Miki Michihata
 2016年もあと数時間。今年もいろいろありましたが、最後にドガーンときのは、愚息の入院。恥ずかしながら、気ままな一人暮らしの大学生、まともに食事をとってない、運動してない、寝てないの三拍子。見事やられました。改めて、食や生活習慣の大切さを痛感しました。
 また、神戸に母がおりますが、こちらも食がいい加減になっています。料理はしない、お湯を沸かす程度です。あれほど料理上手だった人が、こうもなってしまうのかとびっくりするほどですが、なかなか自分のために、買い物に行き、調理をすることは、かなりハードルの高いものであるようです。自分自身も一人のときは、いい加減です。

(ひとり暮らしと惣菜利用)
 私事はさておき、単身世帯と惣菜利用の相関は大いにあります。11月、奈良FRUXグループ様の「惣菜のわかる八百屋塾」で、参加者の皆様から惣菜利用について、ご意見をたくさん聞かせてもらいましたが、やはり、社会人や入学、単身赴任、あるいは離別・死別など「単身になる」きっかけとして、惣菜の利用が増える。当たり前のことではありますが、一人分つくるのもめんどうだし、経済的にも安くて簡単に食べられるものがスーパーやコンビニで手に入ります。
 
(未曾有の単身世帯拡大)
 人口は減るけど、世帯数は増加の一方。世帯数は、5,430万世帯、1世帯あたりの人員は、1.38人(平成27年度の国勢調査速報値)です。単身世帯は、1,684万世帯と最も多い形態で、全世帯の32.5%、高齢者単身世帯を中心に増えていますね。また、統計には上らないけど、単身赴任も多いように感じます。単身赴任の片割れも、また単身です。日本だけの現象ではなく、ヨーロッパでも単身世帯は増加傾向。アジアでも都市への人口集中が進み、女性は結婚しない子供も生まない。同様の現象は続くでしょう。
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<<単身世帯率39%と世界一のスウェーデン、ストックホルムのスーパーICAの売り場>>

 人類の歴史上、これほどまでに一人暮らしが多い時期はないでしょう。食は『ともに得、ともに食べる』ことでした。古代は、食糧の確保も難しく、人は、協力して食料を得、分かち合うことをやってきました。今では、経済そして様々な食品の流通・加工技術も進歩し、一人でも安価で食を得ることができるようになりました。
そして、『ともに暮らす」生活も大きく変わります。ひとりでいても、今では、インターネット、SNSの発達により、一人暮らしであって一人暮らしでないようなつながりがあり、寂しくはないし、逆に、家族と一緒に住んでいても、それぞれの価値観が優先されます。個食、個生活は、好き勝手できるから、心地いいわけです。


 なんとなく違和感を感じつつも、個食、個生活に向かう流れは止められない。となると、惣菜需要もますます拡大していきます。また、そこに自分の商売のネタもあるわけで、、、自己矛盾を感じながら仕事をしているのは、正直なところです。おいしく、栄養バランスもとれ、そして手頃な価格を実現したいと思っています。もうひとつは、惣菜、加工食品など、新しい食の情報、その使い方、食べ方の啓蒙も必要となります。たまたま来年は、そういう仕事にご縁をいただくこととなりそうで、頑張って参ります。

 どうぞ皆様、2017年、佳い年をお迎えください。

(参考)平成27年度国勢調査の概要(速報値)


この記事の執筆者:
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道畑富美
単身世帯と惣菜需要
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