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post by Fumi Michihata
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京都の料理屋で菜食SAISHOKUフェア 

2024年2月11日 23:46 - Miki Michihata
先日、上野の科学博物館で開催されていた「和食展」を見てきました。気候風土から産み出される豊かな食材に、先人の知恵や技術に育まれて、現在の日本の食ができあがってきたという展示に、社会見学の学生さんから年配者まで、多くの人が集まっておりました。しかしながら、和食とはなにか?カレーライスは、6割以上の人が和食と捉えているといい、和食も日に日に変化しています。

 日本の都市の中で、和食といえば、京都が思い浮かぶと思います。確かに、料亭、割烹、また庶民の和食店も、他の都市に比べて多いではないかと思います。また一方で、海外からの移住者や留学生、そして観光客が多いのも京都です。世界中の国から異なる文化を持った人たちがやってきて、当然、食への要望も多様化していきます。ハラールなどの宗教、またベジタリアンやビーガンなど、実際、京都は、お寺の精進料理も伝統的にありますが、あたら新感覚でベジタリアンやマクロビオティクなどを実践している飲食店が多いです。

今回は、その京都の和食店が新たな「菜食」を考えるというSAISHOKUフェアが、市内にある老舗料理店8施設が開催されました。私は、かつての鯖街道の宿場の茶屋からに始まるという「山ばな 平八茶屋」を選びました。時間と財布が許せば、全部行ってみたいところですが、鮎や若狭からの魚を使った料理が有名なお店で、菜食だけでどんな料理が出てくるのだろうと期待もありました。

 食事の前には、「京料理のこれまでと菜食の未来」と題して、21代目のご主人(なんと創業は安土桃山時代に遡ります)からお話を聞き、SAISHOKU、先付から果物まで12品の豪華ランチをいただきました。精進料理に使われる干し椎茸や干瓢などは使わず、かぶ、ごぼう、人参、白菜、南瓜などの野菜からとっただし、といっても単一なだしではなく、あるだしは、干したこれらの野菜、あるいは、料理に使った皮からなど、野菜を様々に工夫して、工夫がされているそうです。また、単調な味となる野菜に、味の変化をつけるために、多様な食感を楽しむこと、また時には、油(太白ごま油)などを用いるなど考えられているとのことで、風味、食感、そしてもちろん、見た目の楽しさも加わって、12品、どれもおいしく、お腹いっぱい、楽しむことができました。
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<<焼き物は、百合根。中に、松の実やりんごがちょこっと隠れており、田楽味噌との相性抜群、干し柿もよい!>>

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<<21代目ご主人による京料理の歴史のお話。参加者は、料理人の方も多いような感じでした。>>

ご主人曰く、「京料理とは、京都で手に入る食材を、今日おの土地、風土の中、独自に発達したものである」と。さらに、ただ単に動物を食べない、健康志向や動物福祉の観点だけでなく、環境といった視点で、プラントベース(菜食)を考えていく必要があるとも、話され、エネルギーを多用して集めてきた食材を食べるご馳走ではなく、菜食には、環境だけではなく、持続的な意味合いがこれから求められるのだなあと感じました。特に手に入りにくい野菜というわけでなく、スーパーで目にするような野菜を材料で、めちゃくちゃ美味しく、また学ぶことが多かったです。
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<<平八といえば、とろろ麦飯。ですが、通常動物性のだしでとくところを、豆乳でといてあります。>>

この記事の執筆者:
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道畑富美
京都の料理屋で菜食SAISHOKUフェア 
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