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post by Fumi Michihata
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なんでも冷凍食品化を考える。

2023年9月25日 10:28 - Miki Michihata
やっと涼しくなってきました。暑い夏、クーラー嫌いの私も、夕方から夜寝るまでは28℃設定でエアコンオン!室内は涼しいけど、室外機はたまらなく熱い!住宅密集の町家長屋住まい、色々気を遣われ、遣いの日々。エネルギー消費について考えた夏。温暖化なんとかして~!

さて、冷凍食品。
単身世帯の増加・簡便ニーズから伸びていた冷凍食品、パンデミックで爆発的に人需要が伸びました。昨年(2022年)一人あたりの冷凍食品消費量は、23.9kg、10年前の2012年の21.2kgから1割以上の伸びとなっています。売り場を見ても一目瞭然、従来の冷凍食品売り場は面積広がり、品目も増えています。実に、スーパーマーケット売上においても、冷凍食品は、同じく需要拡大の加工食品の中でも最も伸びているカテゴリーです。

チルドレディミール大国の英国でも、セインズベリーが、冷凍食品は、食品ロス削減に有効であることを啓蒙するために、冷凍食品専門ポップアップストアをロンドン市内を設置したりしています。日本でもイオングループが、冷凍食品専門の業態@フローズンを展開しています。

食味良い、即食そしてロングライフでロス少ない、という利点が、消費者の需要にマッチした結果でしょう。そして、一方、食の提供側でも、この冷凍食品のロングライフ性を活用した動きが始まっています。

(エネルギー収支が気になる、冷凍おにぎり)
 ローソンの冷凍おにぎり、試験的ではありますが、都内と福島県で冷凍おにぎりを販売しています。食品ロス対策に加え、2024年物流問題が背景にあります。私も新宿の靖国通り店で、焼き鮭おにぎりと五目おこわを購入して食べてみました。お店のレンジで温めてもらい、おいしくいただきました。が、、ここまでする必要あるの?!というのが正直な感想。
炊飯しておにぎりしにして、冷凍して、また加熱。どれだけエネルギーが投下されているのかを考えると、おにぎりも喉につまります。提供側の視点ではなかなか厳しい。このおにぎりは、豊島区にある実験店グリーンローソンでも販売されているということですが、この店も、冷凍ばかりでなんか味気ないのです。できたて至上主義の旧世代の感想かもしれませんが、、提供側だけの都合では、顧客には響かなさそうです。

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<<冷食コーナーの一角に、小さいからわかりづらい>>

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<<レジで温めてもらって試食、あら、ごはんもおいしいわ。遠い道のりのおにぎりを想う、、、>>


(店舗で食材や惣菜を急速冷凍 イオンスタイル松原店の試み)
 店頭でのロス、また店頭でのロスも削減しようという試みが、イオンスタイル松原店(大阪府)で実施されていました。同店で加工された精肉、水産、農産品や惣菜を、急速冷凍して、冷凍食品として販売。店頭では、ダイエーのdaiをとって、「冷凍Dai革命!」と、カットフルーツや肉など、それぞれ青果、精肉、水産の売り場に、ショーケースが置かれています。カットされた肉は、なかなか圧巻!少世帯向けの個食にも対応でき、家庭で中途半端なホームフリージングするより衛生的でいいなあと思います。
 惣菜もしっかり冷凍、おにぎり、かつどん、天ぷらや唐揚げ、そして店内焼成パンまで、新しい売り場・売り方が生まれています。顧客の方がどこまでついていけるのか、、試食販売も各所でされていましたが、コミュニケーションがキモとなります。
 急速冷凍機のデイブレイクのもの。若いイケメン社長(イケメンは関係ない)のベンチャーで、調理機器の展示会でも、毎回注目を集めていました。ひとつの冷凍システムとして、確立されたことはすばらしいですね。

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<<焼肉も部位ごとに少量ずつ となると便利です。ホームフリージングより衛生的>>

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<<店内 石窯焼成パンも冷凍。傍らで、「自然解凍してから焼いてよ」と、試食でコミュニケーション>>

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<<惣菜売り場に並ぶカツ丼も冷凍して販売。どちらもおいしくいただきました。>>

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<<惣菜売り場で売っているカツ丼も同じ値段で、冷凍して販売。賞味期限は1ヶ月。>>

 ここまで冷凍温度帯が拡大してくると、加工、流通、保存のためのエネルギーや企業活動について、気になるところです。今年の夏の暑さ、どこに由来するものか、食のサプライチェーンだけではないと思いますが、業績追求ももちろんながら、各業界大いに考えるべきときに来ています。


(参考資料)
日本冷凍食品協会 冷凍食品統計

ダイアモンド・チェーンストアエイジ 2022.11月25日
「‟超"拡大する冷凍食品市場 食卓の異変と冷食の進化、小売業の新しい売場づくりとは」
この記事の執筆者:
Foodbiz-net.com
道畑富美
なんでも冷凍食品化を考える。
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