環境持続性や動物福祉の観点から植物タンパクの市場が伸びている。特に米国のグルメスーパーでは、プラントベースの棚がひとつできているほど。日本人には身近なところで豆乳やアーモンド、オーツのミルク、チーズやヨーグルトなどの乳製品、またインポッシブルやBeyond Meatなどのソーセージやハンバーガーのパティなど、確実に需要が増え、多様化もしている。Good Food Instituteによると、小売業における、2020年のプラントベース市場は70億$、年々伸びていると報告しています。
<<NYブルックリンのWegmans プラントベースフードの棚がひとつできています。主力は乳製品>>
<<Good Food Institueによる、小売市場におけるプラントベースフードの市場動向>>
日本はどうかと言うと、欧米のようにプラントベース食品が広がっていないように見えます。というのは、もともと大豆や大豆を加工して豆腐や納豆、また味噌醤油などの調味料へと加工して食べる文化があり、それらは美味かつ食習慣として長い歴史があるので、大豆のわざわざ肉のように加工あるいは調理して食べるということに、それほど利点を感じないことが大いに影響しているのではないかと考えます。乳代わりの豆乳など、牛乳よりも飲用経験が長いので、欧米のようにわざわざプラントベースと強調する必要もないものもたくさんあります。
最近は、惣菜や外食のメニューにも取り入れられることが多く、やよい軒では、6月中旬より、大豆ミートを使った肉野菜炒めや生姜焼きを販売しています。「大豆ミートの野菜炒め定食」食べてみました。味付けはおいしくいただきました。が、肉と比較するとやっぱり物足りない、味気ないです。ただ、ご飯とよく合って、おいしいのですが、やっぱり「ミート」と名付けてあると、肉と比べてしまいます。いや、これは、別のものなんだという頭での納得と、これを食べて、環境持続性に貢献しているんだ、とかヘルシーなたんぱく質(当然、脂肪はほぼゼロ)を食べたんだという頭での満足感が欲しいところです。
<<やよい軒の大豆ミート野菜炒め定食、おいしかったのですが、肉と思うと物足りない。なんか違う呼び方がないのかなあ~>>
プラントベースフードを食べたければ、味覚とはトレードオフ(少なくとも今の段階ではおいしくないけど)であるが、その分、なにか自分にとって健康であったとか、環境にどれだけ貢献したなど、頭で理解しておれば、食べた感じもします。なんとも人間とは勝手です。FMI(Food Industry Association)のレポートにも、消費者はプラントベースフードにおいしさと栄養(健康)を求めているが、店頭での情報提供や啓蒙が必要であるとも書かれています。技術開発でおいしさの追求はできると思いますが、所詮、肉ではない、植物でできたもの。もっと、プラントベースフードが消費者の生活、あるいは地球環境にとってどんな存在であるのかを明らかにしてこそ、消費者の選択肢のひとつとなるのでしょう。
さて、同九段と偏見の米国報告「米国食品小売業のダイナミズム」と題して FRUXグループ主催の「第81回惣菜のわかる八百屋塾」にて報告しています。9月末まで、視聴可能。また資料のダウンロードもできますので、資料を見ながら、ご覧になってください。