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post by Fumi Michihata
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2022年小売業の8つのアクション~Progressive Grocer誌より

2021年12月10日 22:02 - Miki Michihata
今年もあと3週間ほどですね。今日からアメリカに行く予定でしたが、帰国するのににえらくエネルギーを投じることになりそうで、ギブアップしてしまいました。参加するつもりのカンファレンスは、時差との戦いでオンラインで臨みます。以下も朝4時からのウェビナー。

米国食品スーパーマーケットをカバーするProgressive Grocer 誌 Editorial DirectorのMike Troy氏と女性編集者3名によるディスカッションのウェビナーが12月8日に開催されました。パンデミックを背景に、消費者の意識・行動は大きく変わっている。小売業は、テクノロジーを駆使し、その変化に小売業がいかに対応していくべきか、8つのアクションについて、語っておられます。

"Innovation Outlook 2022 ~8 Action Items on Every Grocer's Ahead of What's Next Agenda"、と題したもので、その8つのアクションとは、
1.Sustainability (環境持続性)
 パッケージ(プラスチック)や食品ロス、あるいはCO2排出量について、これはもはや当たり前のテーマ。

2.Retail Operations (小売業のオペレーション、人材)
 とにかく人手不足、感染を恐れて働かない、また補償をもらって働く必要がないなどの理由があるようです(これは別ソースから)。教育、トレーニング。とはいえ、スターバックスにも労働組合ができたとニュースになってました。

3.Store Experience (店舗体験とユニークなコラボレーション)
    ワクチン打って、リアルの買い物に客足が戻ってきている。が、eコマースとは異なる店舗体験を顧客は期待しているよと。そこには、テクノロジーも必要。またユニークなコラボレーションも実際に始まっていると。例えば、TargetとUltra(化粧品)HyVeeとDSW(スポーツ靴)Kroger とBed Bath Beyond(バストイレタリー用品)など。売り場という物理的なリアルスペースにはもっと劇場性が求められるとも話しておられました。NYにあるStew Leonardsみたいな店かな、関西進出で話題のロピアもそれに近いです。

4.Shopper Engagement(デジタル購入の機会が爆発的になりデータも集まるが、課題も)
  eコマースが拡大すると、リテイルサイト自身が広告メディアとしても機能してくる。
2022年には世界規模で50兆$になるとも言われ、Netflixやyoutubeを凌ぐ規模となるとForrester社のレポートがある。データは、統合され、顧客へのパーソナルな提案も可能となるが、プライバシーや情報セキュリティが大きな課題となる。 

5.Supply Chain (マイクロフルフィルメントとダークストア)
  ミドルマイルとラストマイルの輸送とフルフィルメントが課題をいかに解決するか。12月6日付、DoorDashが10分デリバリーというのをNYチェルシー地区で始めたことが話題になっていますが、日本のコンビニくらいの単位で、マイクロフルフィルメントがいっぱいできています。Gopuff, Jokr, Buyk and Gorillasなどなど、これらも、日用品や食品(もちろんスナックや飲料と思われますが)を注文から30分以内にデリバリーするサービスです。たとえば、Gopuffは現在米国に500拠点で650を超える都市で展開。30分以内に日用品や食品を届ける。プラスチックバックにシールして(ジップロックみたいなイメージ)で届けられ、めちゃ速くやってくると、パネルの一人の女性は笑って話しておりました。
 他にも、WalmarとGatikの提携により自動運転で配送車走らせるとか、、もう誰が運んでくれるのか、というより、機械、AIがやってくれる、ドローンがラストマイルの課題を解決してくれるとも。

6.Ethical Eating (食品のオリジンとプラントベースたんぱく)
 米国の消費者は、今まで以上に、その食品のオリジン、またそのトレーサビリティ・透明性を求めていると。そして、プラントベースのたんぱく、またフェアトレードなどエシカルなものを求めているのだと。最近では、プラントベースのシーフードも少しずつ市場を拡大している。

7.Retail Foodservice (小売業におけるフードサービス) 
ウェグマンのようなインストアダイニング、パンデミックを背景に、自宅で調理をするようになり、生鮮品の売上は上がった。一方で、惣菜(prepared food)が、eコマースにまだうまく乗ってない。今後は、デジタルコマースと惣菜の統合(惣菜をオンラインで販売、どうデリバリーまたはピックアップするかが課題)が進む。外食にも客足が戻ってくる、小売業との競合が激しくなるはず。それには、Quality and Affordability(モノとサービスの質と買いやすさ・価格)のバランスが肝であると。女性編集者からは、HEBのBBQセットやWegmansの惣菜が好きだという声と、インストアベーカリーのサンドイッチや出来立て惣菜などうまく手元に届いたらいいと、編集者というおyりも一顧客としても述べていました。
 
8.AI
 なんといっても、データの蓄積とAIの活用、顧客のプロファイリングとパーソナルな提案が可能になってくると。

結びとして、顧客の期待は高く、多様化。動きは早い。小売業はさらに迅速にアクションを起こす必要があるのだ、と。日本のように歩いて、あるいは通勤途中など交通機関を使って買い物に行ける環境と、米国の市場は異なると思うが、ある点では大いに一致するし、日本はもっと違う方向へ行くようにも考える部分もあります。競争が激化することだけは間違いなく、さらに淘汰も始まっていくことでしょう。


この記事の執筆者:
Foodbiz-net.com
道畑富美
2022年小売業の8つのアクション~Progressive Grocer誌より
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