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post by Fumi Michihata
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食卓は調味料でつくられる

2021年5月17日 14:04 - Miki Michihata
外食も中食も境目がなくなりつつ今、中食の未来、2030年中食はどうなってるんや~を考える「中食2030」が、一般社団法人日本惣菜協会から出版されます。

私も、6章ある中の、2稿ほど担当させてもらって、ひとつには、若い世代へのインタビューや食業界の先端を行く実務者への取材をもとに、惣菜業界に求められることについて、おいしく、企業の独自性ある惣菜への需要は変わらない、と書きました。もうひとつの章では、惣菜も家でつくる料理も、調味料メーカーの味になりつつあると書いて、家ではつくれない味を、ほかにはない商品をつくってよ~と、惣菜業界にエールを送っています。

というのも、もはや、外食・中食も内食も、多くが調味料の味で完結してしまっています。素材をいかにおいしく調理するか、という観点にはない状況です。シェフや調理人のいるレストランへ行かないかぎりは、難しくなっています。若い世代の料理は、全部ではないものの、調味料発想。スーパーの棚に並ぶ調味料から今夜の料理を決め、素材を買うという購入の仕方が主流になっています。我ら旧世代の、新鮮な素材、安くなっている素材、食べたい・食べさせたい素材を決めて、それを材料につくる料理を決めるという発想ではなくなっています。

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<<先月オープンした三ノ宮駅直結の阪急オアシスさん、調味料が圧倒的プレゼンスありです。>>


「料理家」と称する人たちが紹介するのは、めんつゆ、合わせ酢を使った料理。それは簡便で、ブレなく調味できてよいことです。働いて、ごはんを毎日作る必要がある人にとっては、重宝されるものです。料理は進化していくものだし、これはこれの流れです。でも、プロである惣菜業の場にも、合わせ調味料がまん延しています。それでいいのかなとふと感じる場面にも出くわします。決して否定するものではありませんし、またその店の仕様に合わせた調味料もあり、独自性が保たれていることも多いのですが、なんとなくどこも同じ味に陥ってないかと思います。

かつて味が濃くておいしないと評されたお惣菜も、最近では美味しくなったと言われます。確かに、新鮮さも向上し、企業の多大なる努力が見てとれます。ただ、どう美味しくなって、これからどう美味しくしていくのか、、がよく見えない店や企業もあるようにも思います。

一方、調味料メーカーは、家庭調理回帰にのって、新商品を投入してきます。先日、キューピーのフレッシュストック商品をいくつかでいただいてみました。従来同社のドレッシングはほぼ常温棚、今後は、青果、肉・魚そして惣菜売り場でも、フレッシュな(チルド)調味料で、さらに攻めていくぞ!というキューピーグループの数社が集まってのラインナップです。新技術、加圧で殺菌するというチルドサラダ、そしてちょっとチルド使い切りソース。さすがフレッシュ感あり、どれもおいしいやーん。
ソースは、「いつもの惣菜にプラス」というフレーズがすごい!惣菜の中にも入っているけど、まだ惣菜の外にもかけるんかーい!すばらしい戦略です。これくらいに惣菜企業も頑張らないといけません。胃袋争奪戦、これからどう展開されていくのかなあ。
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<<夕方揚げたてのチキンカツ惣菜398円なりと、「私の惣菜」シリーズフレッシュソースで十分。外では飲めず、当然家飲みになりますねぇ>>

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<<低温のまま、圧力かけて殺菌するという「冷圧フレッシュ製法」で野菜もシャキリとおいしいです>>


そんな話でもって、「惣菜業界頑張れ~!」という内容で、今週は、19日福岡で開かれている「西日本食品産業創造展」で日本惣菜協会として講演してきます。緊急事態宣言下ではありますが、お近くの皆様、よろしければ、ご来場くださいませ。 
「中食2030」は、一般書店で販売されています。

この記事の執筆者:
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道畑富美
食卓は調味料でつくられる
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