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post by Fumi Michihata
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過剰供給を考える

2020年7月 8日 16:45 - Miki Michihata
「コロナに負けるな!」食と農・流通への提言を募集した流通経済研究所の懸賞論文・提言企画に応募しましたが、見事外れました。もっとも懸賞ををもらおうなどとは一寸も思わず、自分の考えをまとめられたらいいなと思い、小論文にしました。いずれの日にか、論文集がAmazon出版から出されるそうですが、私の言いたかったのは、とにかく日本全国、全世界「過剰供給」が課題と思います。量だけでなく、その種類の多さ、そしてサービスの過剰。〝来る来る詐欺"の食料危機は来ないし、コロナを機に、あまりに無駄、無理があることに気がついた方も少なくないのではと思います。

日本にいれば、量の過剰は毎日目の当たりにしています。FAOによると、生産される食料の3分の1が廃棄されている。日本では毎日一人あたりお茶碗一杯分のごはんが捨てられていると言います。一方で、飢餓人口8億2千万人とされます。また、その一方で、肥満の人口10億人と圧倒的な分配のアンバランスが生じている。ただ、量だけの問題ではなく、質的なことの勘案する必要もありますが、この日本では、安全に食べられる食品が毎日捨てられています。

捨てられる原因はなにか。やはり種類の過剰も原因かと思います。多品種すぎて売れ残るものが圧倒的多数出てきます。これほどたくさんの種類が必要なのか。消費者側からすれば、選びにくいだけ。どれを買っていいのかわからない。迷うのも、考えるのも面倒くさいという意見もあります。選択肢が多いことがいいことなのか、もう一度、加工の段階、流通そして消費者まで、議論する必要があります。
そして完璧な品揃え、これももういいでしょう。そのために、不必要な在庫、見込み生産、見込みサービス労働も削減できそうに思います。

捨てられる原因のもうひとつは、鮮度。鮮度至上主義からの決別を。過剰な安全を見越しての賞味期限の設定や商慣習、例えば、3分の1ルールなど、業界側も見直し始めています。コロナで消費者が選んだものは、長持ちする冷凍食品やレトルト食品。消費者の方が賢い!日持ちしない食品の日持ちも再考が求められます。

自粛期間中は、食品も、衣料も、思うように買いにでかけられませんでしたが、なかったらないでいいじゃないか、ということに多くの人が気が付いたように思います。

そして、最後に、過剰に供給されるサービス。スーパーマーケットで感染のリスクも顧みず、現場に立っている皆さん、これ以上何を望もうか?!おじぎ、言葉遣い、、そんなこと要らんでしょう。ヨーロッパに行ったら、レジ担当のスタッフは、椅子に座ってやってます。
 
今まで消費者が、顧客が求めているであろうと勝手に解釈し、絶対安全を求めていた企業、もう一度、過剰供給について考えてみる、絶好のチャンスと思います。あふれる商品、あふれるサービス、生産性も上がって、サステイナブルですが、すっきりするには、それなりの痛みも伴います。と、そんなことを応募した小論文では書きました。それにしても、人間は忘れやすく、慣れやすい。また、自粛解除になると、忘れてしまうことも多々ありますね。

この記事の執筆者:
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道畑富美
過剰供給を考える
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