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post by Fumi Michihata
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ポストコロナを考える-飲食店編 「テイクアウトは生鮮品!」

2020年5月10日 15:19 - Miki Michihata
ポストコロナ、忘れっぽい私たち、3年後くらいには、ソーシャルディスタンスやマスクなどなくてもフツーに生活しているとも思います。確実にフツーが変わっているのでしょうけど、政府のいうニューノーマルというのではなくて、今までの生活を反省し、価値観、生活様式も変わっていると思います。デジタル、AIとかなんとかというよりも、これらを使って、どういう生活を描くか、が大事。

多くの人が、いろいろなことに気が付いていると思います。

私自身は、モノはなくても、ないなりにやっていけるなあと、、服もそれほど必要ないし、食べるものも、毎日ご馳走食べる必要もない、近所のスーパーで買ったもので、美味しくできるじゃないの、しかも安価にと、これでいいのではないかと、人間とは忘れるのも馴れるのも早い動物です。

さて、食を介して、人との集まりの場を提供してきた飲食店は、その存在意義が根本から覆され、非常に大変な状況に追い込まれています。権利ばかりを声高に主張する経営者と、黙々とやるべきことを進める経営者と、それぞれの経営者の真髄が見えてきます。これはさておき。

残念ながら早くに閉店を決めて新たなビジネスに向かっていく飲食店もあります(それも勇気ある決断です)が、多くがテイクアウトやデリバリーに力を入れています。それまでの売上をカバーするには至りませんが、涙ぐましい努力をされています。
大手企業では、マクドナルドは、日本マクドナルドは、連休から連休明けの5月14日まで、全店2900店で店内での飲食サービスは中止しているにもかかわらず、テイクアウトとデリバリーでカバー、4月の既存店ベースで、客数で前年より2割近く落とすも、客単価は3割強アップ、売上は6.5%アップ。ケンタッキー・フライド・チキンは、まだ4月の成績が出ていませんが、ファミリー向けのメニューをいち早く導入し、3月は110%アップの売上を獲得しています。安定したオペレーションで、素早い決断と実行力が功を奏しています。

このロックダウンで人々がどのように食行動を変えたかを、 調査会社のニールセンが33ヵ国で調べています。特にアジア地域での比較が興味深いですが、多くの人々が家でご飯を食べ、テイクアウトやデリバリーを利用する傾向が高まったと報告されています。が、日本の反応が他のアジアの国々に比べて鈍い。規制が緩いこと、またタイムラグがあることも影響しているのかもしれませんが、オンラインオーダーやGrabやUberなどサードパーティ配送業者による宅配サービスの普及が、ほかのアジアの地域に比べて遅れていることも関係しているでしょう。
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<<Nielsen社による調査結果より 日本人は動きが鈍い>>

こうなると、外食と中食の境目も本当になくなっていきます。中食は、スーパーマーケット好調ですが、いまひとつ伸びないようです。今は、今日食べるものよりも、明日明後日食べるもの、いざというときにおいておける長持ち食品に顧客の手が伸びているようです。食べたいときが購入時。惣菜、外食店のテイクアウトは、まさに生鮮品です。

飲食店のテイクアウトは、外食する際のメニューと同じくらいの価格に設定されていたり、あるいは競合を意識するあまり、原価計算してるんかいなと思うくらいの安めの設定であったり、、価格設定、どのようなお客さんに、どう訴求していくのか。今は非常時ですが、また落ち着いたら、非常に厳しい競争市場となっているかと思います。そして何より衛生面は、気をつけてほしいと思います。

 最後に、飲食店は、「場」があることが強みと思います。店主がいて、接客する女将さんやスタッフがいて、リアルの人との触れ合いは、なによりのご馳走です。そして、「場」があれば、何でも売れます。なんでもいいんじゃないか、というのは言い過ぎですが、牛丼チェーンのすきやが母の日のカーネーションを販売することに、評価が上がっているようです。カーネーション農家をサポートする目的もあるようですが、やはり地域のなかの飲食店という「場」は、なによりも大事な資産です。(だから家賃払ってるんですよね)




この記事の執筆者:
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道畑富美
ポストコロナを考える-飲食店編 「テイクアウトは生鮮品!」
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