ウィーンに来ています。シェーンブルン宮殿やオペラ座、文化の香りのする市内から、電車で30分も走れば、田園風景が広がります。ベートーベンが住んだこともあり、温泉とカジノのある保養地、バーデンの西方に、ホイリゲが集まるところがあります。
<<中に入るとこんな素敵なホイリゲ。この素敵な居酒屋が並びます。>>
ホイリゲ(Heuriger)とは、ぶどう畑をもつワイナリーがワインと一緒に、惣菜や料理を提供する居酒屋のことです。カルフォルニアやフランス・イタリアのようにワイナリーが離れているのではなく、ここ、オーストリアでは、ホイリゲが集まって、居酒屋ストリートになっています。街の入り口に、今日営業しているホイリゲを示す看板があり、ホイリゲは、松の葉をぶら下げて、営業していることを示します。
シャンパーニュの町、ランスもメゾンが並んでいますが、そんなお高く止まっていませんで、ホイリゲは、セルフサービスの惣菜を提供する気楽な居酒屋です。年中開いているそうですが、いまの季節は、新酒の出来上がる頃、 strum(シュトルム)というろ過してない濁り酒が提供され、ジュースみたいに飲み口よく酔っ払います。
<<セルフサービスの惣菜が抜群!水の向こうに見えるピンクのグラスが、シュトルム!酔います!>>
料理も美味しく、素晴らしい天気の9月最後の日曜日、私たちは、11時過ぎから3時くらいまでひたすら、食べて飲んでゆったり過ごしました。天気も良く、折しも国政選挙の投票日で、家族連れ、カップルで大にぎわいでした。あちこちのホイリゲをはしごする人たち、ワイン畑を散策する人たち、これぞ、欧州の時間の過ごし方!と感激しました。
私たちのお邪魔したホイリゲは、Drimmelというワイナリー。
代々ワイン農家を営むアントンさんは、まだ40代前半くらいの若い農場主。朝早く、農場やワイン醸造の場も案内してもらいましたが、10haの農場を持ち、白、赤からアイスワインまでを作っています。長野オリンピックの際も、会場にきて、ワインを選手たちに提供してそうで、日本には馴染みのある方です。ぶどうと育て、ワインを作り、ホイリゲを営む、大忙しで、この時期は体重がかなり落ちるそうです。
気さくなアントンさんですが、ワインの話は真剣。醸造はどこで勉強したのかと聞くと、中学を卒業したら、16歳から5年間は、ワインスクールに通ったそうで、その後大学では、微生物学や農学(栽培の方)を勉強したそうです。いやー、そこまでみっちりやるんかい!?とびっくりしましたが、オーストリアのワイン農家は、皆そうらしいのです。
ドイツのマイスターしかり、技術者になるには、高校から、職業訓練校の意味合いが強いのですね。オーストリアの大学は、入学するのも卒業するのも難しいそうです。10月1日の入社式、同じスーツ、同じ髪型で歩いてる日本の新卒生、何年もかかって、これかい?お金もかかってます。はい。