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post by Fumi Michihata
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超ソロ社会、スウェーデンのレディミール

2017年2月 5日 23:26 - Miki Michihata
 2012年に出版された米国の社会学者Eric Linenbergによる「Going Solo」によると、単独世帯率世界一は、スウェーデン(47%)、つづいて、ノルウェー(40%)デンマーク、ドイツ(39%)と続きます。単独世帯が多いと言われる日本でも、その数は32%であることから、単身で生活する人が北欧諸国では多いのかを想像することができます。
 スーパーマーケットやコンビニエンスストアの品揃えも、当然、1人前用のレディミールが充実しています。冷凍、冷蔵に限らず、これらの需要が高いのでしょう。冷凍食品専門のスーパー、フランスのピカールは、この市場を有望とみて、ストックホルムに2013年2月に2店をオープン、5年で50店舗以上にすると計画しています。現在ストックホルムに12店、マルメ、ウプサラ、ヨーテボリに各1店があるようです。(スウェーデンピカールのウェブサイト
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<<ストックホルム市内のピカールは、老若男女様々な客が来店する>>

(スウェーデンの食品小売業)
 北欧の最大手スーパーマーケットチェーンは、ICAグループ。株式会社というよりも企業組合の形態で、スウェーデン国内に429店のスーパーマーケットやハイパーマートなどを展開しています。ほかには、生協COOPもあり、セブンイレブンは77店舗。なんといっても、ドイツのLidlも勢力拡大中で151 店、スウェーデン国内にあります。(Wikipedia Sweden Supermarket chainより)

 ICAは、ちょっとアッパーな感じのスーパーマーケットです。圧倒的な品ぞろえ。フランスやイタリアではない、合理的な機能美みたいな雰囲気です。生鮮野菜も豊富ですが、水産物や精肉は、基本的には、パッケージされており、日本のスーパーのスタイルです。対面販売の惣菜もありますが、レディミールの方が多く売られています。
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<<ストックホルム市内のICAスーパーマーケット>>

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<<ストックホルム市内のスーパ hemkopのチルドレディミール>>

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<<Lidlの冷凍レディミール 品揃え豊富 他のスーパーに比べて10クローネほど安い>>

 さらには、セブンイレブやコンビニに行くと、1人前レディミールが圧倒的なシェア。スナックやお菓子のほかには、焼き立てパン(もちろん焼成済みの冷凍パン)にパック入りのサンドイッチのほかは、冷凍、冷蔵のレディミール、北欧のコンビニで驚くべきは、パンまで焼いているのに、皆ワンオペでやっていることです。
できるだけシンプルなオペレーションで、余計なものやサービスは売らない。徹底して合理化されています。
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<<マルメ市内のNara Coopのコンビニ業態>>

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<<ICAのコンビニ業態>>

 百貨店NK(Nordiska kompaniet エン・コー)は、重厚なつくり。デパ地下も高級感ありますが、対面販売の惣菜よりも、容器に入ったレディミールが主流です。
これらの容器包装は、スウェーデンの技術の歴史があります。身近なところでは、牛乳パックにほぼ使われているテトラバックは、スウェーデンはルンドに本社を置く国際的企業です。これは余談として、ベンチャー企業企業MicVacが開発した、マイクロ波殺菌をして密封するという容器が、チルドレディミールの容器にじゃんじゃん使われていました。こういう技術をシーズに、単独世帯の拡大を背景にスウェーデンのレディミール開発は進んでいったと思われます。

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<<NKデパ地下でもチルドレディミール>>

(なんといっても合理的)
 スウェーデンの小売業と言えば、アパレルのH&M、家具のIKEAがあります。人口千万人足らずの国から、これだけの世界的企業が生まれるのには感心します。いずれも合理性の追求が大きな成長の要因と思います。IKEAの生まれた町、エルムホルトにあるIKEAミュージアムを訪れました。ここには、創業1号店もあり、商品のデザインや開発を進めるIKEAの中枢部があります。ミュージアムのエントランスで、創業者イングヴァル・カンプラードが迎えてくれますが、「多くの人々に、よりよい、より快適な暮らしを実現するため」に、開業時より、ただ家具や雑貨ではなく、トータルな生活を創業以来提案し、一時代をつくってきた歴史を振り返ることができ、改めてすごい企業であると感心します。世界中どこのIKEAに行ってもほぼ同じ店づくり、商品、サービス。こだわるべきところには徹底してこだわる、でも、細部は合理的に考える。コンビニのワンオペも同様。
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<<感激のIKEAミュージアム、コペンハーゲンから電車で2時間ほど、絶対おすすめ!>>

(福祉と住まい方)
 人間、合理的だけでは生きていけないし、一人では生きていけないはず。前述の「Going Solo」には、単独世帯の人は、孤独というわけでなく、さまざまな社会的関係の中に生きているのだと。特に、ストックホルムのような都市では、単独世帯が互いの関係を作りつつ暮らしていくための住宅の設計についても(シェアハウスのようなものでしょうか)、人々も行政も工夫を凝らしているのだと書かれています。そこには、「食」でつながる関係もあるといいなとも思います。レディミールもいいですが、たまには、食を介して、人間関係をつくっていく、今後、まだまだソロ世帯が増えていく時代には、改めて大事なこととなっていきます。
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<<元エステルマルム市場がリニューアル、集まってワイン片手に賑やか>>

 
参考図書
Eric Linenberg「Going Solo」Penguin Press(2012)
国立社会保障・人口問題研究所 
「日本の世帯数の将来推計(全国推計)」(2013(平成25)年1月推計)

この記事は、日本製紙株式会社様のウェブサイト コラム→パッケージ雑記帳に紹介していただきました。
「海外の気になるパッケージ欧州のスーパーマーケットに、日本の将来を垣間見た瞬間 ─Easy Separationという考え方─」2019年2月21日号
さすがに技術のプロの視点で書かれていて、大変勉強になります。

この記事の執筆者:
Foodbiz-net.com
道畑富美
超ソロ社会、スウェーデンのレディミール
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