英国テレグラフ紙の記事"Home cooking 'less healthy' than infant ready meals" というタイトルには、日本の手づくり信仰の意識高い系のお母さまたちや冷凍食品を弁当に禁止するような幼稚園関係者には、ショーゲキものです。元の文献まで辿っておらず恐縮ですが、記事によれば、幼児食の料理本、ベストセラー55冊から408のレシピと、スーパーの幼児用レディミール278アイテムを比較してみると、エネルギー、脂肪、たんぱく質とも家庭料理レシピの方が高く、奨励されている栄養水準に叶う家庭料理レシピがレディミールより少なかったのだとかなんとか、大学の一応レポートです。料理本のレシピと、実際のレシピとは違うこともコメントされていますが、、さすが、レディミールの国、英国ならではの話題です。
<<英国は、チルドも冷凍もレディーミールで売り場は占められています>>
今や、惣菜の品質は素晴らしい。時間かけて、汗流して、台所汚すことと、天秤にかければ、当然惣菜に軍配が上がります。が、やはり出来立てに勝るものなし、やはり手づくりよ~と、そのソリューションとして、長い間、キット惣菜に期待が寄せられ続けてきました。キット惣菜が、最近、また、少しずつ通販・宅配で市場を広げているように思います。
最近では、オイシックスのkitOisix(おやじギャグぅ!)、ローソンのキッチント、コープデリなど、キット惣菜のプロモーションをよく目にします。メニューも、昔のおかずとは異なり、カフェ風で、若い子育て主婦層を狙っていることが見てとれます。また、キット惣菜老舗のタイヘイ、ヨシケイは、従来の食費節約路線に加えて、高齢者や予防食、医療食要素も盛り込み、継続購入層を着々と広げています。
材料のディストリビューターが参入する例もあります。キューピーは、カット野菜と調味料をセットにしたキット惣菜を販売し、2013年度5億、2014年度15億を売り上げ、2015年度には25億円を目指すと 2014年の決算報告会で発表されていますが、がその後この事業についての報告が見当たらないので、あまり良い方向にいってないのかと勝手に憶測しています。
米国では、これまで、何度かキット惣菜ビジネスが話題に上っています。私も2007年に視察に行きましたが、その頃は、ミールアッセンブリーと呼んでおりました。今はmeal kitというのかな、7月20日のSuperMarket Newsの記事によれば、外食するのとコストもあまり変わらない、キット惣菜に代わる便利な調理済み食品もあるので,キット惣菜ビジネスの今後は不透明とあります。
<<HEBのCentral lMarketのキット惣菜 写真は古いです2009年のもの >>
同記事には素材の鮮度と料理をする体験をアピールすることが大事とありますが、まさにキット惣菜は、料理の経験が、ほかの便利なものとの差別化であります。確かに、先に挙げた現在売り出し中のキット惣菜関係各社は、調理の経験、家庭で調理の位置づけを訴求しています。
いくつか、私もキット惣菜は買って試していますが、量が決まっているので、なんとなく高い気がしますし、いつもの「家庭の味」と同列で比較してしまうので、どうも評価が厳しくなってしまうように思います。キット惣菜は、いいコンセプトではあると思いますが、いまだ、これ!というものに出会えておらず、今後を期待します。
参考))テレグラフ紙サイエンス2016年7月20日
"Home cooking 'less healthy' than infant ready meals"
SuperMarket News 2016年7月20日
"User like meal kits, but outlool uncertain: Study"
追記、Restaurant Hospitality記事では、ミールキット市場が、15億ドルが拡大とあります。2016年8月10日号