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post by Fumi Michihata
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「バベットの晩餐会」からレストランnomaへ 

2016年11月29日 21:08 - Miki Michihata
 冷涼で日照も短い、当然、生育する農作物は、じゃがいも、麦、ビーツ(デンマークは、砂糖の生産量も多いです)などに限られ、単調と言われた北欧ですが、12年ぶりに訪れたコペンハーゲン、ストックホルムの食は、多様化が進み、グルメ化の波がやってきています。 

(ノルディックキュイジーヌ人気に、食材のバラエティも増える)
 最近は、ノルディックキュイジーヌという分野も注目をされており、パリやミラノでも、ノルディックレストランが人気だそうです。青山にもしゃれたレストランがありますね。なかでもデンマークのレストランnomaが、世界一のレストランに選ばれ、さらに注目度が上がります。
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<<コペンハーゲン市内の広場にできたグルメマーケット>>

元々は、美食や味を追求しない精神と冷涼な気候ゆえにバラエティに乏しい食材、北欧人には申し訳ないですが、北欧の料理はおいしくない、というのが定説でした。黒パンにじゃがいもを主食に、チーズ、ハム、そして、野菜はほんのちょっと。素材をじっくり味わうのにはいいですが、食材の種類が豊富でないのが日本人に受けないです。
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<<世界一長いメニュー、オープンサンドのIDA DAVIDSEN>>

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<<現役で頑張る創業者、IDAおばちゃん>>

 皮をカリッカリッにローストした豚とか、見た目うるわしオープンサンドなど、美味しいものいっぱいあるのですけどね。

都市部だけしか見ていませんが、、スーパーマーケットもずいぶん変わりました。以前は、青果売り場には、じゃがいもと輸入したパプリカとトマトぐらいしかなかったのが、トマトの種類も豊富!チルドや冷凍惣菜、サラダも充実。品揃えだけでなく、質的にも向上していることが伺えます。デンマークのスーパーは、ディスカウント業態からアッパースーパーまでほとんどが生協の運営です。12年前は、黒パンと一緒に食べるピクルスなどがたくさん売られていましたが、今やピザにラザニア、カレー、、ここでもレディミール(惣菜)が一般的になりつつあるようです。セブンイレブンの品ぞろえも、サラダとサンドイッチが主流。若い世代を中心に大きく食生活も変わっています。個食、食の外部化は、世界共通です。
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<<コペンハーゲンのセブンイレブン 高いです>>

(質素倹約の精神、プロテスタントの教え)
「バベットの晩餐会」とは? 映画をご覧になったことがありますか?デンマークのユトランド(ドイツに接する地方)に住む姉妹のところに住み込むフランス人家政婦が宝くじに当たり、その賞金で、村の牧師の誕生日を祝い、彼女が仕える姉妹と村の人々を、フランス料理でもてなすという物語。実は、家政婦は、パリで評判の料理人で、使う材料が海亀やうずらで、賞金を全部使い果たすほど贅を尽くしたご馳走を作ります。この物語は19世紀の物語ですが、快楽や美食をよしとしないプロテスタントを信仰するユトランドの人々は、ひたすら慎ましやか。姉妹はじめ皆、そんな贅沢をしたら罰があたるのではないかとビクビクし、食べ物のことには、一切口をつむごうと示しあわせます。最初は、おいしいのを顔に出さないように努めているのですが、だんだん顔がほころんできて、会話も弾むようになります。この映画のおもしろいのは、その人々の表情です。1987年の映画ですからかなり古いですが、おススメです。

ちなみにレストランnomaもドキュメンタリー映画になっていますね。

最後に、イギリスのエコノミスト誌による食料安全保障ランキングによると、上位は、欧州勢とシンガポールの入っているのに、日本は、22位。食料自給率だけの問題ではなさそうです。欧州は、美味しくないと言われたイギリス、北欧も質が高くなってきています。添加物やややこしい調味料が少ない。日本国内では、和食はすごい!と言われてますが、日本の食品もややガラパゴス化しているのではないかというのが、この数値に表れているのでは?と思ってしまいます。

この記事の執筆者:
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道畑富美
「バベットの晩餐会」からレストランnomaへ 
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