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post by Fumi Michihata
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金が集まれば人も集まる ドバイのホスピタリティ産業

2014年10月13日 00:46 - Miki Michihata
 ドバイは、アラブ首長国連邦(UAE)の7つある首長国のうちのひとつ。世界一高いビルBurj Kahlifa、ドバイのアイコンともなっている豪華ホテルBurj Al Arab、次々新しいもの、「世界で一番」をつくり、話題をふりまく、オイルマネーと観光、金融、商業の集積地、世界一の金満都市です。先週、ホスピタリティ産業の教育機関が集まる学会のため、ドバイへ行ってきましたので、レポートを記します。まずは第一弾。
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 <<すべてスイートから成るBurji Al Arab  24階のロイヤルスイートを見学>>

(9割が外国人)
 中東の国に行くからには、アラビア語のあいさつを覚えるのと頭を隠すスカーフは必要かなと思っていたら、アラビア語よりも英語が多用され、スカーフが必要な場面は全くありませんでした。というのも、約220万人のドバイの人口のうち、9割が外国人で、165か国の国籍から成り、英語が共通語です。時間になるとモスクからコーランが聞こえますが、イスラム色は、街にはほとんどありません。高層ビルの建設現場は、インド、パキスタン、バングラディシュあたりからの労働者が、ホテル・レストランのサービススタッフは、フィリピン、中央アジアからの人が多く、多種多様な顔の人が働いています。来てみて気がついきました。そうです、ドバイに元々いる人たちは、ほぼホワイトカラー層。だから、日常生活は英語なんです。官僚など社会の上層は、UAEの人、公文書はアラビア語で、その人たちの社会の中にはイスラムの教えが浸透していますが、庶民が乗るメトロには、ミニスカートの人もいれば、ノースリーブの人も乗っています。アラブ人と外国人の二層構造のようになっているようです。
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  <<金融街とドバイクリーク(川)近くオールドドバイ>>


(明確な役割分担、徹底した管理) 
 二層構造もさらに分かれて、職場の中でも明確に役割(ヒエラルキー的組織)分担がされています。例えば、スーパーマーケットでも、レジでお金を扱う人と購入した袋に入れるスタッフとは、ユニフォームも違うし、人種も違います。レストランでも、注文を聞く人、料理をサーブする人、食器を下げる人、、、とにかくサービス要員もいっぱいいて、皆しっかり持ち場の仕事をしています。
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  <<キャッシャーは、白いシャツ、袋に詰める人たちは、緑のポロシャツ>>
 
タクシーの運転手は、インド、パキスタンからのひとが多いようですが、スタートすると同時に、ちゃんとメーターを入れています。交渉からはじまるアジアの国々とは、全く違うのです。ドバイでは、タクシーで忘れ物をしても、必ず出てくるのだそうです。それは、運転手たちがしっかり管理されているから。私も一度新米インド人運転手のタクシーで、道がわからず、時間と距離がえらくかかったことがありましたが、運転手は、通報しないでくれと懇願していました。成績悪ければ、本国に送還されたら、よい稼ぎ口をなくしてしまうことになるので、絶対に、タクシーの運転手は悪いことはしないようです。


(すばらしい接客ができるのはなぜ?)
 上記のような働き手から見たら受動的な管理でもって、しっかり仕事をさせるという局面もありますが、働き手を活き活き働かせるモチベーションもいくつかあると思います。まずは、給料、きっと世界中のほかの都市よりも給料はいいはず。そして、チップの制度があります。皆、笑顔で、日本のようなねちっこさがなくて、すばらしいおもてなし!と感じました。ホテルやレストランの接客は、かなり質が高いです。特別なところではなく、チェーンホテル、チェーンレストラン(米国系のファストカジュアルも多い)でです。きっと、世界中から集まる観光客、地元の顧客が、はずんでくれるチップが、モチベーションの高さにつながるのだと思います。
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  <<Burj Al Aran ロイヤルスイートフロアのコンシェルジェと美人レセプション>>

初めてのドバイで、最も気づきがあったのは、サービス産業の組織そしてモチベーションを維持する、高めることについて、、。どうやっても、外国人なしには、成り立たない日本の外食業界、外国人にどう貢献してもらうか、日本人スタッフとどう共存、協力していくのか、きっちり考えるべきときにあります。
この記事の執筆者:
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道畑富美
金が集まれば人も集まる ドバイのホスピタリティ産業
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