8月第1週、ウランバートルへ行ってきました。日本の4倍もの広さ、大草原、遊牧民といったイメージのモンゴルですが、首都ウランバートルは、大建築ラッシュに沸いていました。人口約300万人に対し、ウランバートルの人口は約130万人、ほぼ半数の人がウランバートルに住んでいます。国全体の人口密度は、1㎢あたり1.8人!に対し、ウランバートルの人口密度は、300人/㎢だそうで、人口の集中具合がすごいのです。
<<飛行機から見たウランバートルの街>>
今後、ますます首都への流入が進むことが予想され、マンションやオフィスビルが建築中です。今回は、日本に留学中の建設省の女性官僚に案内してもらいましたが、彼女曰く、インフラ整備等、やることはいっぱい。もちろんモンゴルの環境を考慮した都市計画が進行中であるとのこと。確かに、連れて行ってもらったモンゴル市内の公園は、約60ヘクタールに及ぶとか。とにかくスケールが大きい国です。
<<ビルの建築ラッシュ、何棟が建設されるのでしょうか>>
余談になりますが、女性の大学進学率は70%、男性のそれは30%と女性が高学歴です。話を聞くと、男はどうにても食べていける、女性は、勉強して手に職をつけることが大事なのだそうです。また、末子(もちろん男)が家を継ぐなど、その感覚もユニークです。とにかく、おおらか、細かいことには気にしない、そんな国柄、人柄が感じられます。
<<日本のベーカリーのようなパン屋さん>>
モンゴルは、レアメタルはじめ地下資源が豊富で、これらの輸出が稼ぎ頭、需要の高まりとともに投資も集まり、今では、一人当たりのGDPは、3,335ドル。ですが、地方と都市の格差を考慮すれば、ウランバートルの発展状況は、マレーシアやタイにも相当しそうな雰囲気です。世帯あたりの収入は、約81万トゥグルグ、日本円で5万円ほどでしょうか。しなしながら、市内のレストランでは、ビール1杯、平均して300円ほどですが、若い人も外食する若い人も見かけます。マクドナルドはまだないようですが、KFCが5店舗ほど出店しており、店の前には高級車もとまり、店内はにぎわっています。
外食は、モンゴル料理に加え、韓国、西洋(なぜかアイリッシュパブが目につきました)、日本料理なんでもござれの状況でした。日本風のパン屋さんもありますし、また、ピザも人気のようです。もともとチーズを食べる文化ゆえか、チーズがたっぷりのっていておいしいのです。庶民の食堂的なところへ案内してもらいましたが、中心は、肉、スープ(野菜スープといっても肉たっぷり)、そして、じゃがいもか、ごはん、そして、餃子(揚げ餃子と蒸し餃子)が中心です。ポテトサラダとキャベツのサラダ、なかなかおいしいものです。そして、うどんもスープに入っていたり、焼うどんだったり、ロシアやコーカサス地方っぽい食べ物もあって、なんとも不思議や東西の融合文化です。
スーパーをのぞいてみますと、乳製品の豊富さにびっくりします。遊牧民の食文化の流れを汲み、チーズやヨーグルト、もちろん馬乳酒や乳からウォッカを作るというようなこともやってのけます。牛だけでなく、ヤク、らくだなどの乳も活用されています。家畜の数は、人口よりもはるかに多く、4千5百万頭が飼育されているそうですので、もちろん、肉食中心。しかしながら、遊牧民は、夏には肉は食べないそうです。家畜が牧草をたっぷり食べて、乳がたくさん出る夏の間は、もっぱら乳や乳製品を。そして、冬が始まる前に、屠畜して、保存のために加工をし、冬の間は、それらの加工肉を食べるという具合です。なんとも生活の知恵、すばらしい食習慣です。
<<ぜ〜んぶ、チーズです。モンゴルでは、市場のことをザハといいます>>
畜産業は参観ですが、冬はマイナス40℃以下になるそうで、農業といっても、雑穀、そして小麦、そしてじゃがいもといったものが中心です。最近では、政府が農業にも力を入れ、野菜や米などの栽培を奨励しているそうです。横綱、白鳳もモンゴル東部で稲作を進める事業に参加しているといった話を聞きました。はじめて知りましたが、モンゴル人は、パサパサのインディカ米は好まなく、粘りのある短粒米が好みだそうで、スーパーに並ぶ米は、すべて短粒米。モンゴル米に加えて、中国、韓国、米国、オーストラリア、そして日本からのお米が品揃えされています。
ウランバートルの中心地から北部近郊で、野菜の生産を6年前に始めたというGreen City Farmを訪問しましたが、ビニールハウス内では、青梗菜、きゅうり、トマトなどを栽培しています。夏は、ビニールハウスだけで大丈夫ですが、冬は、ビニールハウスをさらに囲うカバーが必要とのことでした。
<<この木の内側にビニールハウスがあります>>
雄大な自然と遊牧民の食文化、そして東西の融合と、モンゴルの食文化は、とてもユニークなものです。ただ、都市化とともに、西洋化も進むでしょう。今後の行方が、とても楽しみな国です。