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post by Fumi Michihata
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「お2階へどうぞ!」コンビニ、牛丼チェーンの試み

2014年7月28日 10:12 - Miki Michihata

 梅雨明けとともに強烈な暑さがやってきました。外回りの仕事には、冷たいアイスコーヒー(関西ではレェ~コ)で一服が至福の時です。今年の夏は、コンビニコーヒーの参入でカフェチェーン、コンビニ、自販機・・と、更にもまして熱い戦いが繰り広げられています。各社、以下に客を獲得するかに必死です。その取り組みのひとつとして、2階スペースを利用しようというファミリーマートと吉野家の試みをレポートします。


(あまりに快適すぎるファミマ)

 ファミリーマートが、くつろげる飲食空間をと2階にイートインスペースを配した新型店を展開し始めました。コーヒーや弁当だけでなく、ペットボトル飲料やアイスクリームを買って2階へ上がって飲んだり食べたりしていいのです。

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    ≪仕事もできます、ゆったりくつろげます。ファミリーマート日枝神社前店≫

 都内では、7月中旬、赤坂日枝神社前にこの新型店がオープンしました。2階へ上がると50席ほどの空間に、もちろん喫煙スペースも設けられています。セルフサービスでコーヒーも飲めますし、すばらしく余裕ある空間です。女子トイレに行ったっては、パウダールームと称し、カーテンで目隠しできる個室が4つほどありました。採算度外視、ここまでやるか、目の前に日枝神社参道(階段)を眺める一等立地で、この家賃を考えると、直営店舗でなければ、とても運営できそうにありませんが、ひとつの挑戦です。高い地代の立地よいところで、ガバガバ人が入ってくれればいいビジネスモデルです。しかし、長っ尻を如何に対処するかが課題です。高回転を期待するにはあまりに居心地が良すぎるのでは、と思われます。外食業界から見ると、これはアンテナショップで終わりそうなモデルです。


(1時間で一丁上がり)

 対して、さすがの高効率を目指す吉野家の「お2階居酒屋」は、長っ尻をいかにコントロールするかがよく考えられています。新業態といっても、二毛作型です。神田、五反田、八重洲の「吉呑み」の3店舗。お昼もぐるぐる回っている2階席、夜はあまり回らんな、ということで飲み屋に夜だけ変えてしまっただけなので、ほとんど投資がかかっていません。客席はそのままに仮の台をおくことで2人、4人でも楽しめるテーブル席としていますし、一人のみには、昼間のカウンター席で対応可能。席でたばこは吸えませんが、喫煙空間が設けられており、吸いたい人は、そのスペースで一服することができます。

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 品揃えは、昼のメニューをおつまみようにうまくアレンジしています。昼に使用する食材以外では、マグロやコロッケなどがありますが、これも解凍するだけ、揚げるだけの簡単オペレーションで提供ができます。つまり、新たな調理用の人件費も生じない。

驚くべきは、ビール、ハイボール、チューハイが300円の安さ。牛丼のあたまとビールは、なかなかおいしい組み合わせでした。

 昼の牛丼店そのままなので(長っ尻の女子は絶対に来ない構えです)、ゆったりともできず、30~40分ほどでビール2杯とちょこちょこっとで出来上がり。1人千円足らずですが、満足感もあります。心底客単価の落ちてしまった牛丼屋にとって、千円の客単価は、大きい。さすが、効率追求の吉野家です。

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        ≪吉呑み 神田駅前店。かなり満席状態でした≫ 

と、両業態とも今後が楽しみですが、やはり同じ食品業界でも、外食、コンビニ、ちょっとしたコツが違いますね。ファミリーマートさんは、2階席で稼ごうと思うなら、外食経験者に相談に行ったほうが良いかと思われます。(余計なお世話ですね、ごめんなさい!)

この記事の執筆者:
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道畑富美
「お2階へどうぞ!」コンビニ、牛丼チェーンの試み
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