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post by Fumi Michihata
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現地人で行こう!メーカーに学ぶ現地化戦略

2014年6月13日 07:59 - Miki Michihata
飲食業の海外進出、日本がダメなら海外へという安易な考えではなかなか厳しい結果となります。商品やサービスの質をいかにマネジメントするかは、やはり文化・習慣そして言葉も違う海外で、苦労を強いられることは必至です。

なんといっても、食べ物は、味覚(見た目も含めて)が大きな部分を占めます。巨大グローバルチェーンのマクドナルドもKFCも、各地での現地化に力を注いでいます。ベジタリアンの多いインドで、ベジバーガーを開発したり、牛肉に馴染みがない中国では、圧倒的にKFC、圧倒的にKFCに後塵を拝む格好となっています。お化け企業でも、その土地、文化あるいは宗教に柔軟に適応していくことに苦心していることがわかります。

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いつもタイで買ってくるのは、クノールのトムヤムキューブ。これが、なかなかおいしいのです。先日、同商品をシンガポールで買いました。同じ味かなと思いきや、唐辛子より胡椒がめちゃくちゃきいていて、おなじ顔していても、まったく違うトムヤムキューブでした。シンガポールは英国の影響が強いのでしょうか、
胡椒の刺激が好きなようです。たしかに、ブラックペッパークラブ(蟹)が名物料理です。飛行機で2時間ほどの距離ですが、大きく嗜好が違うことにやたら感心してしまいました。
日本の食品メーカーが、現地で生産していますが、やはり日本のオリジナル商品とは、まったく味が違います。コストという要素もありますが、日清食品のトムヤムヌードルも非常に辛味が強く、タイ人の好みとなっているようです。

おなじみグリコのポッキー、ヨーロッパではMIKADOの名前で現地企業との提携で製造されているそうですが、アジアでは、ポッキーで勝負。すでに様々な品ぞろえがされています。現地の経済状況に合わせて、顧客世代に買いやすい価格、味もデザインも同様です。お土産に買って帰り、学生たちにどうぞ、といったら、ひとこと「おいしくない」(ごめんなさい)と全員が反応しました。バターっぽい風味がなく、フレーバーもキツい。アジアの価格や味覚に合わせればこういうものになるのだと、現地化ということが舌で理解できます。
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ちょっと頭の回る学生は、「暑い国だからチョコレートが溶けにくいようになっているのだろう」などと言います。そう、気候にも合わせていく必要があります。

先日、味の素冷食の米国社のお話を聞きました。ウォルマートで冷凍餃子が売られているのを見たときは、すごい!と思いました。ウォルマートのことを知る方なら当然でしょう。しかし、もっとすごいのは、現地化した商品(アメリカ人が好みそうな中華、パンダエクスプレスみたいな味覚と表現されていました)をPB商品として、コストコ、トレーダージョーズに納入しているのだそうです。
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           ≪ハワイのターゲットで見つけた味の素の餃子、こうやって頑張っておられるのはうれしい!≫

味の素のような大きな会社でも、米国での冷食事業は3度失敗、しかし、4度目には、ある会社(工場)を買収した時から、スタートし、今では立派な売上、ブランドを築いたお話を聞きました。商品だけでなく、社内の管理もすべて、米国流。しかしながら、味の素がもっている、日本で培った品質というエッセンスは絶対に譲らない。海外へビジネスをもっていくことの覚悟と大事なことは何かを伺いました。




この記事の執筆者:
Foodbiz-net.com
道畑富美
現地人で行こう!メーカーに学ぶ現地化戦略
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