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post by Fumi Michihata
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産業化とは、生涯賃金を他の業界並みにすること サイゼリヤ正垣会長

2021年10月 9日 07:32 - Miki Michihata
2年ぶりにリアルされた開催の日本フードサービス学会。ほぼ発足当初から参加しており、研究助成も何度かいただいております(深謝)。今回の基調講演は、サイゼリヤの創業者である正垣康彦会長とあって、たくさんの参加がありました。

 サイゼリヤのユニークな運営・経営手法、また日経新聞の「私の履歴書」やテレビの経済番組でも、創業者としてのエネルギッシュな生き方が紹介されていて、業界関係者ならずとも、よく知るところではありますが、やはりご本人の口からでてくる話を、ご尊顔を拝みながら、聞くのは、迫力があります。

講演の内容は、大きく二つあり、エネルギーの法則と外食産業の産業化についてです。冒頭より物理学科卒業だからエネルギーの法則だと、何の話やねん?と一瞬びっくりしましたが、めちゃくちゃいい話でした。前提としてビジョンを持つこと、夢のようなビジョン、世の中のためになるようなビジョンを掲げたら、人は寄ってくるし、そこに集まる人によって、いい関係ができ、ビジョンに向かって、うまくいく方向に進むのだという法則です。人は、困っている人を助けるために生きている、簡単に言ってしまっては申し訳ないですが、利他の気持ちがあれば、おのずと何でもいい方向へ向いていくということ。この話は、もっと深いところにあると思いますが、ここでは、ここまでとします。

2つ目の話は、外食の産業化についてでした。産業化とは、簡潔です「外食企業で働く人の生涯賃金を他の産業並み、あるいはそれ以上にする。」生産性がとか、効率が、というより、明確です。
サイゼリヤは、創業より55年経過しているそうですが、創業期の10年はもがき苦しみ、その次は20年かけて人材育成、さらに10年で株式上場や資産の蓄積、最後の20年でシステム転換期と、つまり後5年で産業化完成であると。ROI(Return on Investment)20 %以上稼ぐここと、そのために、農業のところから店まで、美味しさと顧客満足の追求をするのだと。たとえば、レタス、一番効率がいいのは、四角い、直径1メートルくらいの大きなものと、ぶっとびな発想を現実にしていくところが、正垣会長のまさにエネルギー。
日本から進出して、唯一独資で成功しているのもサイゼリヤ。全身全霊かけて、事業にエネルギーが注がれています。
 
 この数十年で、外食も少しは産業化したのか、偏差値高い大学(偏差値が高いのがいいと言っているわけではないです。)や理系の学部を卒業したような学生のなかで、変なやつが少しは集まってきたように感じます。食は科学、もっと理系学部、特に最近はやりの農学部、また情報・機械系、こういうサイエンスを学んだ人材が外食企業に入ってきてくれるとおもしろくなり、産業化が進むだろうになあ。これから、若い人は金の卵、どう導くか、大学や企業の役割は重大です。

この記事の執筆者:
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道畑富美
産業化とは、生涯賃金を他の業界並みにすること サイゼリヤ正垣会長
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