機会を得て、デンマークの農務環境省主催のWORLD FOOD SUMMIT2017に参加してきました。都市化が進むことによる、さまざまな食の問題を、欧州はじめ世界中から200名以上の専門家が集まり、討論し、政策へとつなげるという会議です。
昨年度につづき2回目の開催となるFOOD SUMMIT2017、そのメインテーマは、"Better Food for More People" 、ノルディックキュイジーヌの先駆者レストランNOMAのRené Redzepiのスピーチに始まり、現代食生活について書いた「Hungry City」の著者 Carolyn Steelはじめ豪華キーノートスピーカーに、ロイヤルファミリーから王女様もご臨席され、気合いの入ったものです。
メインテーマをブレークダウンし、4つのテーマ、Better Information, Safer Food, Food Diversity, Food Wasteに分かれてのディスカッション。私は、Food Diversityの会に参加しましたが、2日間とも農務環境担当大臣が一緒に同席されていたのが印象的でした。本気で政策提言に関わるのだなと思うと、参加者のモチベーションも上がります。
Food Diversity, 食の多様性というのは、様々な視点で捉えられます。環境の持続性、生物多様性を考えると、多様な食品、食べ方をして行く必要があります。会期中、NOMAプロデュースのランチには、虫!も出てておりました。René Redzepiのスピーチの中で、畑だけでなく、野生の森、海、自然環境から食べられるもっとあるはず、VILD MAD(野生の食)という提案がひとつありましたが、早速実践されて、あちこちから驚きの声が上がっていました。
<<ちりめんじゃこみたいなのが虫です!>>
また、様々な人が都市に住む、特に人種の違う人同士が住む、食を分かち合うとなると、他の食文化や習慣を、互いに理解し、それぞれに融和し合いという多様化も出てきます。ベトナムからボートピープルとしてデンマークに来て、ベトナムの日常の料理をレストランやケータリング食として、デンマークで実現しているLeleさん、著名なロックスターにもケータリングをしているHahnemanns KitchenのTrineさんは、自らのレシピに加えて、さまざなバックグラウンドを持つスタッフの食文化を取り入れていくなど、日本にいたらあり得ないような食文化が融合して行くさまを、興味深く聞きました。食は、アイデンティティとして、自らを認識するものであり、また人と人とのつながりを紡いでいくものでもありと、食のもつ文化的な側面を改めて感じました。
<<前夜のFood Potluckで、女性たちと一緒に料理する農務環境大臣>>
もう一つは、多様化した食、その知識や経験を誰と共有するかということ、食は一人ではシェアできるものではない、子供の食の教育であったり、一緒に食べる食の場を創造することであったり、食を中心に多様で豊かな人間関係を築くことがFood Diversityかなと思ったり、、改めて、食文化について考えた2日間でした。