「お正月料理をつくりますか」をテーマに、ewoman働く人の円卓会議でweb上ディスカッションをしました。2001年、2011年、そして今年と定点観測的に、私くらいの年代の女性(つまりおばはん)にこのテーマを投げかけてきています。この十数年であまり変わらず、つくる人は6割、つくらない人は4割という感じです。つくる、つくらないは、子供の時の食習慣、育った時代、社会環境に大きく左右されるので、同じ世代の人の経時的変移はほとんどありません。世代を変えて、20代、30代に聞いてみれば、もっと驚くべき数字がでてくるはずです。ある調査では、おせちを全部手づくりする人は7%とか。
<<赤い箱の中身は、これ! クリスマスに送られてきました、某惣菜メーカーのもの>>
生活様式や価値観が変われば、お正月の位置づけも変わり、そこに登場する食も変わっていく、当然のこと。確かに親からの伝承はありますが、徐々に薄れていくものと思います。おせち料理の歴史は、江戸時代後期あたり、位の高い武家か裕福な商家に限られた、正月を祝う料理に始まったものだと言われています(これは調べてみるとおもしろそうですね)。」この会議では、おもしろいことに、地域による違いを伺うこともできました。おせち料理などない、三が日より大みそかにごちそうを食べる、海の近くで、正月は魚ざんまい等々、結局は、私たちの思い描いている正月料理とは、地域によりそれぞれであることがわかりました。重箱に詰められて販売されているおせち料理も、結局は、コマーシャリズムに乗っかって、私たちの中でイメージとして創りあげられているものなんですね。クリスマスには、いちごのショートケーキとチキン、節分には恵方巻(比較的最近ですね)、お雛祭りには、ちらしずし、、と、このようなスーパーマーケット52週の販促カレンダーの発祥は、さかのぼること、平賀源内発案の土用のうなぎプロモーションであったと言われています。
なんとなく踊らされている感を持ちながら、踊らされている私たち、おせちの市場規模は、富士経済の調べで、今年は600億円の大台を行く予想です。
和食がユネスコの無形文化遺産に登録されたのも、なんだかキナくさい。季節の移ろいや地域による違いを尊び、それらを日常の食生活に取り入れる。確かに美しいです。農水省が一生懸命やって登録を勝ち取った、それで日本の農産物の輸出をなんとか今の5千億から2020年には1兆円にしようという素晴らしいプロモーションです。2015年には、ミラノで開催されるエクスポに、和食をテーマに日本館として出展するそうです。大枚はたいて、日本の農産物が海外で売れるようになればいい、食品産業が海外市場で活躍できるようになればよいと思います。それにしても、声高に言われる和食が、我々の日常の食生活とはかけ離れていることが気になります。もはや遺産なんでしょうか。
8月には、ミラノEXPO視察ツアーも計画しています。EXPOはあくまで言い訳、北イタリアの美食の旅をごいっしょに。
皆様どうぞ佳い年をお迎え下さい。