ミリオンダイエット シンガポール政府が展開する健康キャンペーン
経済的に豊かになるということは、身体的に不健康になることと同義でしょうか。3月に訪れたシンガポールで、地下鉄のホームに、1,000,000kgダイエットとポスターが掲示されているのを見つけました。どうやら、政府主導で、国民の肥満を予防しようとキャンペーンが仕掛けられているようです。
今や、一人あたりのGDPでは、日本を追い越したシンガポール、英国エコノミスト誌が選んだ、世界で最も生活費の高い都市という栄誉に輝いています。(ちなみに、東京は円安も手伝って6位に転落)それだけ経済はアジア一の国となりましたが、ここにきて、高齢化また医療費の増加といった、日本の来た道を同様に辿りそうな状況にあります。
年間を通じて、平均気温30℃を超えるというシンガポール。一昔前は、暑くて肥満などとは無縁だったでしょう。が、今や、多くのシンガポール人が、エアコンの効いたオフィスで動かない生活を送っています。物価は高いが、屋台村のようなホーカーズに行けば、安価に食事をすることは可能。欧米型のライフスタイルの導入で、甘い清涼飲料水、高脂肪の食事。肥満傾向になるのは必至。生活習慣病も当然のこと罹患率が高くなります。医療費の増加、シンガポール政府のとった策は、全国民で百万キログラムの減量をしようとダイエットキャンペーンをスタートしたようです。国内各所で、インセンティブ付きの減量競争など、様々な取り組みが繰り広げられるようです。
福祉国家をあえて目指さない国
そもそもシンガポールには、日本のような手厚い健康保険や年金制度はなく、国民は、将来に向けて、給料から十数%を貯金することが義務付けられています。55歳までは自由に使うことができず、住宅購入や病気になった時は、各自その貯金から供出するというシステムです。世界のお金持ちが診療に集まるシンガポールの先端高度医療はメディアでも取り上げられていますが、庶民の医療とは一線を画しているようです。
一方、高齢化も進行しており、2013年には、65歳以上の人口が10%を超えましたが、現在530万人の人口に加えて、永住者を増やし、高齢化率の上昇を食い止めようとしていますが、健康に老いることにも重点が置かれていくことでしょう。実は、今回の訪問時、シンガポール大学で開催された高齢者のコミュニティーグループとのワークショップに参加しました。若い学生とのセッションでも積極的に意見を述べる高齢者たちは、まだまだ若い、日本の高齢社会の域には達してないという印象を受けました。が、彼らも、来たるべき高齢社会に備えることを模索しています。
飲食業にも大きな責務
日本では、「メタボ」という言葉を流行させ、腹回りを減らすことには成功したようですが、医療費の増大にストップをかけることは難しいようです。いろいろなアイデアで国民に啓蒙をつづけていくことしか、健康を維持し、病気を予防する早道はないでしょう。
食生活と健康、そして予防、食の果たす役割は非常に重要であります。シンガポールは、日本以上に外食率の高いところですが、飲食店のこのキャンペーンへの関わりについても引き続きウォッチしていこうと思います。
【ジュロンイーストのショッピングモール内にあるサラダの専門店】